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2012/4/4

ゲシェフトフューラーの豆知識

屋外勤務であれば皮膚がんは労災対象に

この記事の要約

労災が適用される病気は職業病政令で具体的にリストアップされている。つまり裏返していえば、リストアップされていない病気の場合は労災の認定を受けるのが難しいということである。この問題に絡んだ係争でアーヘン社会裁判所が3月に判 […]

労災が適用される病気は職業病政令で具体的にリストアップされている。つまり裏返していえば、リストアップされていない病気の場合は労災の認定を受けるのが難しいということである。この問題に絡んだ係争でアーヘン社会裁判所が3月に判決(訴訟番号:S 6 U 63/10)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは約40年に渡って瓦葺きを行ってきた職人。同職人は皮膚がんを発症したため、労災の適用を労災機関(Berufsgenossenschaft)に申請した。仕事柄、直射日光のさらされることが多いため、業務と疾病の間に因果関係があると判断したわけである。

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これに対し労災機関は、皮膚がんは職業病政令の適用リストに入っていないとして、労災の適用を拒否したため、原告はこれを不服として提訴した。

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第1審のアーヘン社会裁はこの係争で原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、屋外で働く労働者が皮膚がんを発症しやすいことは科学的に証明されていると指摘。原告のケースは、職業病政令のリストに明記されていない疾病であっても労災と認められる例外規定の条件を満たしているとの判断を示した。

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