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2012/4/18

ゲシェフトフューラーの豆知識

短期の空きポストでも事業所委の要求があれば社内公募義務

この記事の要約

空きポストが生じた場合、従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は新規採用者を社内公募で募集するよう経営者に要求できる。これは事業所体制法(BetrVG)93条に明記されたルールである。最高裁の連邦労 […]

空きポストが生じた場合、従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は新規採用者を社内公募で募集するよう経営者に要求できる。これは事業所体制法(BetrVG)93条に明記されたルールである。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は2011年2月の判決(訴訟番号:1 ABR 79/09)でこの条文について、空きポストでの雇用期間が長期にわたる場合は公募を行わなければならないと言い渡した。

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では雇用期間が短期にとどまる場合はどうなのかと言うと、これについては必要がなかったため判断を示さなかった。この問題についてシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が今年2月の判決(訴訟番号:6 TaBV 43/11)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは同州にあるメーカーの経営者。同経営者は需要の拡大を受けて2010年6~8月の3カ月間、100人以上の派遣社員を採用しようとして事業所委の同意を求めたところ、承認を拒否されたため、裁判を起こした。

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事業所委はBetrVG93条を根拠に社内公募を実施するよう要求したのである。これに対し原告経営者は、事業所委に公募請求権があるのは長期採用の場合に限られるとの立場で、最高裁判決が判断を保留した部分が争点となった。

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裁判では第1審のリューベック労働裁判所が原告勝訴を言い渡したものの、第2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁は1審判決を破棄。短期間の採用であっても事業所委には公募請求権があるとの判断を示した。判決理由で裁判官は、BetrVG99条1項第1文で事業所委に認められた新規採用に関する同意権の対象には派遣社員の採用も含まれると指摘。採用予定期間が短いかどうかに関わりなく事業所委は公募の実施を要求できるとの判断を示した。

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最高裁への上告は認めた。

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