欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/6/20

経済産業情報

単層CNTの電気・光学特性の観測に成功

この記事の要約

近接場顕微鏡と呼ばれる顕微鏡を用いて、単層カーボンナノチューブ(SWNT)の光学的・電気的特性を30ナノメートル(nm)以下の空間分解能で同時に測定することに、ミュンヘン大学のアヒム・ハルトシュー教授を中心とする研究チー […]

近接場顕微鏡と呼ばれる顕微鏡を用いて、単層カーボンナノチューブ(SWNT)の光学的・電気的特性を30ナノメートル(nm)以下の空間分解能で同時に測定することに、ミュンヘン大学のアヒム・ハルトシュー教授を中心とする研究チームが初めて成功した。SWNTは次世代の電子・光学材料として注目を集めており、ナノスケールでの観察が可能になったことで、より高性能の電子・光学デバイス開発に弾みがつきそうだ。

\

従来のレンズを用いた光学顕微鏡の分解能(2つの点を区別することのできる距離)には、照射する光の波長(λ)の半分程度という物理的制限がある(可視光の領域で200~300 nm程度)。SWNTは厚さが1~2nmに過ぎないため、従来式の光学顕微鏡では観察できない。

\

ミュンヘン大のチームはこの問題を解決するために近接場顕微鏡に注目した。近接場顕微鏡で使用される近接場光(エバネッセント光)は、光の波長よりも微小な物質構造に光を当てた際にその物質構造の表面に発生する特殊な光。この光を試料に当てることで波長以下の小さな構造でも観察できる。ミュンヘン大のチームはチップ増強型近接場光学顕微鏡をベースにしたシステムを採用して実験を行い、プラズモン共鳴とラマン散乱の2つのデータからSWNTの構造と光沢的特性の可視化に成功した。

\

同研究の成果は『ACS Nano』に掲載された。

\