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2012/6/13

ゲシェフトフューラーの豆知識

接待費文書の記入には注意を

この記事の要約

取引先などを接待した場合、その理由を接待費文書に具体的に記入しないと、税控除の対象として承認されない。そんな判断をベルリン・ブランデンブルク財政裁判所が昨年5月の判決(訴訟番号:12 K 12209/10)で下したので、 […]

取引先などを接待した場合、その理由を接待費文書に具体的に記入しないと、税控除の対象として承認されない。そんな判断をベルリン・ブランデンブルク財政裁判所が昨年5月の判決(訴訟番号:12 K 12209/10)で下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは電気工事事業者。同社では接待費文書に接待を受けた人の名前と職業・役職しか記入していなかった。

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同社の財務を監査した税務署は接待の理由が明記されていないことを問題視し、税控除を認めなかった。所得税法(EStG)4条5項には税控除が認められる要件として接待を受けた人の名前のほか、接待の理由を記すことが明記されており、この基準を満たしていないと判断したのである。

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これに対し原告企業は、接待を受けた人の役職や職業を記入したことで接待の理由を説明したことになると主張。税控除を認めないのは不当として提訴したが、第1審のベルリン・ブランデンブルク財政裁は訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、EStG4条5項にいう接待の理由の要件は「情報交換」や「ビジネスランチ」といった抽象的な表現では満たされないとした最高裁(連邦財務裁判所)の判決を指摘。役職や職業を記入で足りるとした原告の主張を退けた。

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* 税控除を受けるための要件

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接待の場所と日にち、具体的な理由、参加者の氏名、費用を明記する。飲食店で接待する場合は、具体的な理由と参加者を明記したうえで、領収書を添付する(場所と日にちは領収書で特定できるため不要)。

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