プロ選手やチームを広告に利用する企業は多い。試合で活躍すれば、宣伝効果が大きいためだ。
\ところで広告収入はプロ選手にとって税法上、賃金に当たるのだろうか、それとも事業収入とみなされるのであろうか。そんな問題をめぐる係争で、税務問題の最高裁である連邦財務裁判所(BFH)が2月に判決(訴訟番号:X R 14/10)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのはブンデスリーガのサッカークラブチームとドイツ代表チームに所属する選手。ドイツサッカー協会(DFB)との契約では、試合などに際してスポンサー企業のロゴや社名の入ったスポーツウエアを着ることを義務づけられており、その対価として広告収入を得ることになっている。
\税務当局はこの収入を営業収入と見なし、原告選手に所得税のほか、営業税(Gewerbesteuer)を課税した。これに対し原告は、クラブチームとの契約でDFBの要請があった場合は代表チームに参加することを義務づけられていると指摘。自分は派遣労働者のような存在だとして、広告収入は賃金に相当すると主張し提訴した。
\連邦財務裁が下した判決は原告敗訴だった。判決理由で裁判官は、事業者を被用者から区別するメルクマールとして(1)命令を受けてではなく事業者として主体的に行動する(2)事業リスクを背負う――の2点を指摘。(1)については、原告はクラブチーム、DFBの被用者ではなく広告に関するDFBとの契約を結ぶかどうかを自ら決定する自由があったとして、事業者と認定。(2)についても広告収入は額が定まっていないほか、支払われないリスクもあるとして同様の認定を行い、原告には営業税の支払い義務があると言い渡した。
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