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2012/6/27

総合 - ドイツ経済ニュース

ESM発足が遅れる見通し、独の承認手続き遅延で

この記事の要約

「欧州安定メカニズム(ESM)」の発足が当初予定の7月1日よりも後にずれ込む見通しだ。ドイツの承認手続きが違憲訴訟を受けて遅れる公算が高まっているためで、ESMによるスペイン支援に影響が出る恐れが出てきた。\ ドイツでは […]

「欧州安定メカニズム(ESM)」の発足が当初予定の7月1日よりも後にずれ込む見通しだ。ドイツの承認手続きが違憲訴訟を受けて遅れる公算が高まっているためで、ESMによるスペイン支援に影響が出る恐れが出てきた。

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ドイツでは21日、主要与野党がESM承認で合意し、29日に議会で採択することを決めた。だが、急進左派の左派党はドイツが拠出するESMによるユーロ圏諸国への支援は違憲と主張し、連邦憲法裁判所に判断を委ねることを決定。これを受け同裁はガウク大統領にESM承認法案への署名を見合わせるよう要請した。大統領は憲法裁の要請を受け入れる意向を表明しており、承認手続きは凍結されることになる。

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ドイツではEFSF発足の際も同様の動きが出たものの、憲法裁が合憲判断を下した経緯がある。今回のケースも合憲と認められるとみられる。ただ、審理に時間がかかるため、ドイツのESM承認手続きがずれ込むのは必至で、ESMの活動開始が遅れるのは避けられない見通しだ。

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ESMは危機国支援の現行枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」を引き継ぐ恒常的な支援基金で、EU版の国際通貨基金(IMF)と称される。全加盟国による承認を経て、正式に発足する。当初の1年間はEFSFも並存する。

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