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2012/7/4

経済産業情報

架線給電のハイブリッドトラック、シーメンスが実証試験

この記事の要約

独電機大手のシーメンスはこのほど、外部から電力供給を受けながら走行するハイブリッドトラックシステム開発プロジェクト「ENUBA」の実証試験を開始した。路上の架線から供給される電力で走行し、架線のない区間では補助的にディー […]

独電機大手のシーメンスはこのほど、外部から電力供給を受けながら走行するハイブリッドトラックシステム開発プロジェクト「ENUBA」の実証試験を開始した。路上の架線から供給される電力で走行し、架線のない区間では補助的にディーゼルエンジンを用いるというのがポイント。トラックのエネルギー効率を最適化するとともに、都市部で深刻化している排ガス・騒音問題の改善につなげる意向だ。

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実証試験が行われているのはブランデンブルク州ウッカーマルク郡のテンプリン市にある全長1.7キロメートルの区間。ここには給電用の架空電線が道路上に敷設されており、トラック(18トン)は屋根に取り付けたパンタグラフを通して電力の供給を受ける。架線が敷設されていない、あるいは坂道などで高出力が必要な区間では、クルマに搭載されたディーゼル発電機で発電して走行する。架線がない区間で追い越すなど、発電機からの出力では不十分な場合は、ディーゼルエンジンに切り替えて走行するか、蓄電池(オプション)からの追加出力を受けて電気走行するかを選択できる。

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また、試験トラックはブレーキや減速で生じるエネルギーを回収し、同じ架線下で走行中の別のトラックに電力を供給することができる。外部からの電力供給量を減らせるメリットがある。さらに、架線下を走行中の全車両が一斉にブレーキを踏むなどシステム内の供給が需要を上回った場合は、一般電力網に供給(売電)することも可能という。

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ENUBAプロジェクトは連邦環境省(BMU)からの資金援助を受け実施されている。

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