リチウムイオン電池の充電時間を飛躍的に短縮する新たなナノ複合電極の開発にミュンヘン大学のトーマス・バイン教授を中心とする研究チームが成功した。チタン酸リチウム(lto)とポリマーを400度で加熱して規則的な配列の細孔を持つ多孔体(ナノポーラス構造)を作成するのがポイント。73%の充電に要する時間は5秒以下で、従来のlto系電極に比べ充電スピードが10分の1以下に縮まった。
\ハイブリッド車や電気自動車に搭載する二次電池には、高エネルギー密度、高電圧、高サイクル寿命(=放充電の繰り返しによる性能の劣化が遅い)、高安定性といった特性に加え、充電時間が短いことも求められている。
\ltoは安定した急速充電が可能な電極素材として近年、注目を集めている。ミュンヘン大のチームが今回作成に成功したのは、スピネル型結晶構造のltoナノポーラスで、細孔のサイズはわずか10ナノメートル、単位質量当たりの放電容量は175mAh/g。サイクル寿命も長く、1,000回以上放充電を繰り返してもほとんど劣化しないという。
\研究の成果は『Angewandte Chemie』(インターナショナル版)に掲載された。
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