ドイツ政府がファンド規制の強化を検討している。投資家の保護などが狙いで、クローズドエンド型ファンドは資金の融資調達などを制限。オープンエンド型不動産ファンドは新設を全面的に禁止する。連邦財務省の規制法原案をもとに『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』紙などが報じた。
\クローズドエンド型ファンドは2000年代に入ってから、破たんが目立っている。運用資金を投資家の出資ほか、金融機関の融資でまかなったことが大きな原因で、融資返済に行き詰まりファンドは清算を余儀なくされている。政府はこれを踏まえ、運用資金に占める融資の割合を最大30%に制限する方向だ。
\このほか、投資対象の物件が1つに限られるクローズドエンド型ファンドについて、投資家1人当たりの出資額を最低5万ユーロとすることも計画している。投資対象が分散されていないとリスクも大きいという事情を踏まえた措置で、これにより資産の少ない一般投資家が手を出さないようにする考えだ。
\オープンエンド型不動産ファンドは長年、ドイツで親しまれてきた。だが、リーマンショック後の金融危機を受けて、解約する動きが殺到。ファンドが解約向けの資金を確保できず、凍結に追い込まれるケースが目立っており、現在13のファンドが凍結中。また、11ファンドは清算される。投資口の保有者にいつでも解約する権利がある一方で、解約資金を確保するために運用対象の不動産を現金化するには時間がかかるという事情が背景にある。政府はオープンエンド型不動産ファンドの新設を禁止することで、こうした事態が起こらなくする意向。既存のオープンエンド型不動産ファンドについては存続を認める。
\政府は欧州連合(EU)の「オルタナティブ投資運用者(AIFM)指令」を国内法に転換する形で新規制を実施する。同指令は2013年7月22日までに国内法化することが義務づけられている。
\