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2012/8/8

総合 - ドイツ経済ニュース

エネルギー集約型企業の税負担軽減延長へ=閣議決定

この記事の要約

ドイツ政府は1日の閣議で、エネルギー税制改正案を了承した。エネルギー集約型企業に大幅な税還付を認めた「最高負担額の調整(Spitzenausgleich)」という名のルールを来年以降も条件付きで継続するのが柱。経済界は歓 […]

ドイツ政府は1日の閣議で、エネルギー税制改正案を了承した。エネルギー集約型企業に大幅な税還付を認めた「最高負担額の調整(Spitzenausgleich)」という名のルールを来年以降も条件付きで継続するのが柱。経済界は歓迎の意を表明した。

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ドイツのエネルギー価格は他の国に比べて高い。このため社会民主党(SPD)と緑の党からなるシュレーダー政権(当時)は1999年に環境税を導入した際、製造業の国際競争力を維持する目的でエネルギー集約型企業の電力税と鉱油税(現エネルギー税)負担を軽減した。現在2万5,000社が同ルールを利用して税還付を受けている。

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今回の改正は現行ルールが今年末で失効することを受けたもの。政府は同ルールを一部変更したうえで10年間、延長する意向だ。

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今回の改正では税還付を受ける条件として新たにエネルギー効率の改善を企業に義務づける。具体的には一定量の生産に要するエネルギー量を2013~15年の3年間は毎年1.3%、16年は1.35%引き下げることを義務化。17年以降については16年までの実績を踏まえて目標数値を設定する。目標値は個々の企業でなく、各業界全体で達成できればよい。

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エネルギー効率の測定と17年以降の目標値設定に向けては、企業にエネルギー効率データの系統的な捕捉を義務づける。

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ドイツ経済研究所(DIW)のエネルギー問題専門家が『南ドイツ新聞』に語ったところによると、独製造業のエネルギー効率は年平均で1.5%向上しているため、政府法案に盛り込まれた2013~16年の目標値達成は容易という。

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エネルギー消費量の削減目標を導入するのは、現行ルールを延長する条件として欧州連合(EU)の欧州委員会から命令されたためだ。同ルールは国家助成に当たることから、他のEU加盟国に不利にならないかについて欧州委の審査を受けなければならないという事情がある。

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