高級車大手のポルシェが試みたフォルクスワーゲン(VW)買収のしわ寄せで巨額の損失を被ったとして個人投資家とスイスの投資会社Mycapitalがポルシェに計470万ユーロの損害賠償を請求している係争で、ブラウンシュヴァイク地方裁判所は19日、訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、ポルシェが市場操作を行ったとは言えないとの判断を示した。ポルシェによるVW買収の試みをめぐってはこの他にも損賠訴訟が起こされているが、判決が出たのは今回が初めて。
\ポルシェは2008年10月26日付のプレスリリースで、VWに対する出資比率を75%超に引き上げ、支配契約を結ぶとの意向を表明。支配契約を結ばないとしたそれまでの立場を覆した。
\これを受けてVW普通株の株価は翌27日、それまでの約200ユーロから520ユーロへと上昇。28日には一時1,000ユーロを突破し、VW株を大量に保有していたポルシェは数十億ユーロの含み益を獲得した。
\一方、今回訴訟を起こした投資会社などはポルシェのプレスリリース公表前の時点で、VWの株価は下落すると予想。VW株を売り越していた(ショートポジション)。このため、ポルシェの発表を受けてVW株が急騰したことで損切り注文によって買い戻す措置(ショートスクイーズ)を余儀なくされ、巨額の損出を出した。
\