顧客の要望に応えて製品や仕様をカスタマイズしつつも、大量生産品並みの低価格で提供する「マス・カスタマイゼーション」の需要がドイツでも拡大している。使用しているパーツはすべて規格品だが、さまざまなオプションを自由に組み合わせて選択することで手軽に「自分だけのオリジナル」がつくれることから、規格化された標準仕様に飽き足らない若者を中心に人気が上昇。業界関係者によると、マス・カスタマイゼーションのコンセプトで商品を提供する国内事業者はオンラインショップを中心に400社を超えるという。24日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
\マス・カスタマイゼーションは◇参入の障壁が比較的低い◇個別の注文が確定してしてから生産するため在庫を抱える必要がなく、在庫管理コストを低減できる――ことから、ビジネスチャンスを狙うスタートアップ企業の参入が多い。
\パーソナライズした板チョコレートを製造するChocri(ベルリン)は5年前、当時大学生だったミヒャエル・ブルックとフランツ・ドゥーゲの2人が設立した。ベースとなるチョコレートの種類やトッピングを顧客が組み合わせられるアイデアが人気となり急速に成長、2010年には米国進出を果たした(createmychocolate.com)。創立者のブルック氏は「注文の8割はギフト用。我々の競合はスーパーのチョコレートメーカーではなく、ギフト用品販売業者だ」と話す。
\オーガニックミューズリ(穀物とドライフルーツ、ナッツ、種子類などを混ぜ合わせたシリアルの一種)のカスタム製造を手がけるmymuesli.deは米国進出を果たしていないもの、同社のアイデアをモデルに同様のビジネスを手がける現地同業が現れたという。
\アーヘン工科大学のフランク・ピラー教授はマス・カスタマイゼーションの人気について「顧客は製品を購入しているのではない。原料の様々な組み合わせを試し、試行錯誤を繰り返しながら製品を作り上げていくという製造過程や楽しさを購入している」と指摘する。また、パーツがモジュール化されており、予算に応じてパーツの組み合わせを自由に変えられることも消費者の購入意欲を後押しするとしている。
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