派遣業界団体のBAPとIGZは、金属労組IGメタルおよび化学労組IG BCEと締結した派遣社員向け賃金協定が11月に発効することを受け、派遣元に支払われる料金の引き上げを求める方針だ。BAPのトーマス・ボイマー副会長は『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙に対し、派遣社員の賃金上乗せによって、雇用者側(派遣元)が負担する社会保険料も増大するためと理由を説明した。
\BAPとIGZがIGメタルなどと締結した賃金協定は、勤続期間に応じて派遣社員の時給に手当を上乗せするというもので、派遣先での勤務期間が6週間を超えた場合は時給の15%相当額が上乗せされる。同比率は3カ月超では同20%、5カ月超では30%、7カ月超では45%、9カ月超では50%となる。
\これにより、未熟練派遣社員の月給は派遣開始から6週間後に200ユーロ(税・社会保険料込)、専門職では同400ユーロ上昇する。
\ドイツでは計85万人が派遣社員として働いており、金属・電機産業だけでも23万人に上る。IGメタルの関係者は「派遣先企業が派遣社員を急場しのぎの短期戦力として投入しているのであれば、賃金上乗せには何の問題もないはずだ」と指摘。11月の協定発効により企業が派遣社員を安価な労働力として利用することに歯止めがかかると期待を示した。
\BAPのボイマー副会長は「賃金上昇に伴うコスト増にもかかわらず料金収入が増えなければ、多くの派遣企業は赤字で経営が維持できなくなり、業界全体が崩壊しかねない」と述べ、理解を求めた。
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