主要国・地域の金融監督当局からなる金融安定理事会(FSB)は1日、国際金融システムの安定に特に重要な意味を持つ金融機関のリストを公表した。ドイツの金融機関でリスト入りしたのはドイツ銀行だけだったが、同行は米シティーグループ、JPモルガン・チェイス、英HSBCとともに金融システムに与える影響が最も大きい銀行と位置づけられており、国際的な金融機関に義務づけられる新資本規制「バーゼル3」の基準を2.5%上回る自己資本比率を達成しなければならない。
\国際的な金融機関は「狭義の中核的自己資本比率」の引き上げをバーゼル3で義務づけられている。リーマンショックに伴う金融危機のしわ寄せを公的支援の形で国と納税者が負担した反省を踏まえた措置で、該当する銀行は2013年に同比率3.5%を確保し、その後2019年までに7%へと段階的に引き上げていかなければならない。
\今回のリストで挙げられた銀行は経営が破たんすると国際金融システムへの影響度が特に大きいため、7%を上回る自己資本比率を達成しなければならず、2.5%の上乗せを求められたドイツ銀行の場合は9.5%が最低基準となる。日本の金融機関でも三菱UFJフィナンシャル・グループが8.5%、みずほと三井住友がそれぞれ8%を義務づけられた。
\ドイツの銀行では昨年リストに入っていたコメルツ銀行が今年は外された。事業地域をドイツ本国とポーランドに絞り込んだほか、不動産・船舶向けの新規融資を中止しリスク資産を大幅に圧縮したことが背景にある。FSBはリストの公表により該当銀行がリスク資産の削減に動く効果を期待している。
\今回のリストは2011年末のデータに基づいて作成された。次回更新は2014年までに行われる予定だ。
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