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2012/12/5

経済産業情報

バングラデシュ工場火災で小売チェーンに批判の矢

この記事の要約

バングラデシュの衣料品工場で11月26日に火災事故が発生し従業員110人以上が死亡した事故をきっかけに、同国製の衣料品を輸入・販売する大手小売チェーンに対し、企業の社会的責任(CSR)活動を強化するよう求める声が高まって […]

バングラデシュの衣料品工場で11月26日に火災事故が発生し従業員110人以上が死亡した事故をきっかけに、同国製の衣料品を輸入・販売する大手小売チェーンに対し、企業の社会的責任(CSR)活動を強化するよう求める声が高まっている。サービス労組Verdiは同工場でブラジル市場向けセーターを生産していた衣料大手C&A(デュッセルドルフ)に対し「工場で新たな死者が出る悲劇を食い止める必要がある」として、実効性のある対策を要求した。

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バングラデシュをはじめとするアジアの工場で製品を生産する欧米の衣料品小売チェーンのほとんどは自前の工場を持たず、現地工場に生産委託している。C&AやH&M、KiKなど欧州衣料チェーン大手は委託生産先の企業に対しCSRの最低基準を順守するよう義務づけているものの、バングラデシュは安全管理の法整備が遅れており、チェック体制はしばしば有名無実化しているという。

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Verdiの小売業界専門家は「ドイツを含む欧米の企業が自主的に定めた検査・監督基準はCSRに取り組んでいるというイメージアップの道具でしかない」と批判したうえで、米アパレル大手PVH(「カルヴァン・クライン」「トミー・ヒルフィガー」)が今年3月、国際労働権フォーラムなどの非政府組織(NGO)、バングラデシュの労働組合との間で締結した「衣料品工場における防火・建築物安全性に関する協定」に参加するよう求めた。

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KiKのサステナビリティ担当者はバングラデシュの工場では安全に関する取り組みが遅れていると指摘したうえで、「同国の当局が動かないのであれば、小売大手が自ら率先して動く必要がある」と強調した。

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