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2012/12/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委・小委員会への業務委任で最高裁判断

この記事の要約

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は小委員会(Betriebsausschuss)を設置して業務を委任することができる。これは効率的な業務遂行を狙ったルールであり、事業所体制法(BetrVG […]

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は小委員会(Betriebsausschuss)を設置して業務を委任することができる。これは効率的な業務遂行を狙ったルールであり、事業所体制法(BetrVG)27条に記されている。では、小委にはどんな業務でも委任することができるのだろうか。この問題に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が8月に判断を示したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:7 ABR 16/11)。

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裁判はニーダーザクセン州にある自動車メーカーの事業所委員が起こした。同社の事業所委は計21人で構成されており、そのうち19人は金属労組IGメタルのメンバーが占める。原告は同労組に属していない。

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同事業所委は2009年、雇用主との間で毎月行う話し合い(Monatsgespraeche)を小委員会に委任することを委員の過半数の賛成で決定した。委員全員が同話し合いに参加するのは負担が大きいと判断したためだが、原告はこれを不当として提訴した。原告は同小委に属していないため、雇用主との話し合いの内容をそれに参加した他の委員を通して間接的に知ることになり、重要な情報を入手できなりリスクがあると判断したのである。

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第2審のニーダーザクセン州労働裁判所は原告の訴えを棄却。最終審のBAGも第2審の判断を支持した。決定理由で裁判官は、BetrVG27条で小委員会への委任が禁じられているのは、雇用主との間で取り決める社内協定の締結行為だけだと指摘。雇用主との話し合いについては禁じられていないとの判断を示した。

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また、雇用主との話し合いの重要な内容を入手できないリスクがあるとする原告の主張に関しては、事業所委員会が保持する情報の閲覧権を各事業所委員に保障したBetrVG34条3項の規定などを根拠に退けた。

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