ドイツから国外に生産移管する企業が大幅に減少している。独技術者協会(VDI)が最新の企業アンケート調査を元に12月18日発表したところによると、2010年から2012年半ばまでの期間に国外に生産拠点を移したメーカーは全体の8%にとどまり、18年来の低水準を記録。06年と09年の調査に比べてもそれぞれ7ポイント、1ポイント下回った。リーマンショック後の金融・経済危機からドイツ経済が迅速かつ力強く回復したことを受けて、製造拠点としてのドイツの評価が上昇したことが背景にあるという。
\こうした流れを反映するように、国外に移した生産活動を国内に再移管したことがある企業は全体の4分の1を占めた。国内への再移管の理由として最も回答が多かったのは「(国外生産は)フレキシビリティー(に欠ける)」で、59%に上った。調査を行ったカールスルーエ工科大学のシュテファン・キンケル教授は「(アジアで生産すると欧州への)輸送に8週間を要し、トレンドの変化に対応できない」ことがあると事情を説明した。
\「品質問題」を挙げる企業も52%と多い。ぬいぐるみメーカーのシュタイフは04年、人件費削減の目的で中国企業に生産委託したものの、低品質を理由に4年後の08年には国内への再移管を決定した。電動のこぎりメーカーのシュティールもブラジル生産から撤退している。
\国外に生産移管する理由で最も多いのは「人件費」で、72%が回答。2位の「市場開拓」(同29%)、3位の「顧客との距離的な近さ」(26%)を大きく上回った。
\移管先国では欧州連合(EU)の新規加盟国が55%で最も多く、これに中国(30%)、中国を除くアジア(25%)が続いた。
\一方、「どの地域から生産を国内に再移管しましたか」との質問では、EU新規加盟国が49%で最も多かったものの、中国は15%と比較的少なく、中国を除くアジア(27%)、東方拡大前のEU加盟国(17%)を下回った。
\調査はカールスルーエ工科大学とフラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)がVDIの委託を受けて共同で実施。独メーカー約1,600社から回答を得た。
\