雇用主は業務用のパソコンを被用者が私的目的で利用することを禁止できる。では、そうしたルールに違反した被用者に対してはどの程度の処分を下すことが妥当なのだろうか。この問題に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年4月に判決(訴訟番号: 2 AZR 186/11)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは住宅金融会社で主任の地位あった社員。同社では業務用パソコンを利用してインターネット、イントラネット、電子メールを私的に利用することが禁じられており、違反者には警告ないし解雇処分を下す決まりがあった。
\原告は2006年10月13日から11月2日にかけて、職場のパソコンからポルノサイトにアクセスしていた。雇用主は社員のネット利用調査でこの事実を把握。事業所委員会の承認を得たうえで、11月21日付の文書で原告に即時解雇を通告した。また、裁判で即時解雇が認められない可能性も踏まえ、念のために解雇予告期間(07年6月末まで)を設けた通常解雇も同時に通告した。
\原告はこれを不当として提訴。第1審と第2審は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告はこれまで処分を一切受けておらず、警告処分を受ければ今後は違反行為を行わなくなる可能性があると指摘。即時解雇も通常解雇も不当な処分だとの判断を示した。
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