経営破たんで会社更生手続きの適用を受けた企業はしばしば、経営上の理由による解雇を行う。ではそうした企業が派遣社員を投入することは法的に許されるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年10月に判決(訴訟番号: 6 AZR 289/11)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは2009年に倒産した大手自動車部品メーカーの事業拠点Aに配属されていた機械工。同機械工は勤務中の怪我で05年9月から病気休業していた。
\同社の管財人とA拠点の事業所委員会(Betriebsrat)は09年3月18日、経営再建に向けて従業員134人を整理解雇するほか、一時的に派遣社員を投入することで合意した。解雇対象者には原告機械工が含まれていた。
\原告は、従業員を大量解雇する一方で、派遣社員を投入するのは問題だと批判。解雇は解雇保護法(KSchG)で禁じられた不当解雇に当たるとしてその無効を求める訴訟を起こした。
\原告は第1審で勝訴したものの、第2審で敗訴し、最終審のBAGも2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、派遣社員の投入を取り決めたのは、受注の一時的な増加に対応するためだと指摘。派遣社員は解雇対象の社員から職場を奪ってはおらず、原告の解雇に違法性はないとの判断を示した。
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