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2013/3/6

経済産業情報

ジルト島沖風力パークの稼働が1年遅れに

この記事の要約

ジルト島(北海)沖合の風力発電パーク、Sylwin 1の稼働開始時期が当初予定よりも1年遅い2014年秋にずれ込むことが確実となった。海上に設置する同パーク用高圧直流(HVDC)転換プラットフォームの建設計画を大幅に変更 […]

ジルト島(北海)沖合の風力発電パーク、Sylwin 1の稼働開始時期が当初予定よりも1年遅い2014年秋にずれ込むことが確実となった。海上に設置する同パーク用高圧直流(HVDC)転換プラットフォームの建設計画を大幅に変更したためだ。プラットフォームの建設を請け負った電機大手の独シーメンスが2月27日、明らかにした。稼働延期はこれで2度目。

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シーメンスは当初、同プラットフォームの設置に用いる地中アンカーの長さを70メートルとする計画だった。だが、その後の調査で設置場所に柔らかい地盤層があることが発覚。これを受けて地中アンカーの長さを106メートルに変更した。

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このアンカーの生産に要する時間は70メートルの製品に比べて長い。プラットフォームの設置作業が可能な時期が5~9月に限られるという事情もあるため、年内に完成するという従来計画を遵守できなくなった。

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シーメンスはSylwin1を含め洋上風力発電パーク用の海底送電線・プラットフォーム設置プロジェクトを計4つ受注した。そのうちSylwin1とBorwin2(ボルクム沖)、Helwin1(ヘルゴラント沖)の計3カ所で敷設計画が遅れており、同社は昨年、引当金5億ユーロを計上した。

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こうした痛手の背景には洋上風力発電パーク用の海底送電線・プラットフォーム設置に関する技術的なノウハウが十分に確立していないという事情がある。シーメンスのレッシャー社長は、そうした難易度の高い受注を一度に4つも獲得したことは経営戦略上の誤りだったと認めている。

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