家庭向けガス料金値上げをめぐる係争で欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は21日、他のガス供給会社からの切り替えや付加的サービスなどの特別供給契約に対し、基本供給契約で認められている値上げ条項を適用することは認められないとの判断を示した。また、やむを得ない値上げの際には期間や額、値上げの理由などを消費者に分かりやすく説明し、透明性を確保しなければならないと言い渡した。(訴訟番号:C-92/11)
\係争の発端となったのは独エネルギー大手RWEのガス料金だ。ドイツではガス基本供給政令(GasGVV)の規定に基づき、ガス供給会社は法律によって供給が義務づけられている一般需要(基本供給契約)向け料金を一方的に改定することができる。これに対しは契約者(消費者)も値上げを理由に契約を解除できるほか、値上げの根拠など詳細なデータの提示を請求できる。
\RWEはこの規定を、他のガス供給会社からの切り替えや暖房用ガスなど、同社によるガス供給が義務づけられていない契約に対しても適用していたため、ノルトライン・ヴェストファーレン消費者保護センターは「値上げに対して解約(=ほかの供給会社に切り替え)を通して対処きる可能性は実質的になく、消費者に一方的に不利」として提訴。連邦最高裁(BGH)は、EU法に関わる問題として審理を中断し、ECJに判断を仰いでいた。
\今回のECJ判決に基づき、BGHは◇RWEの値上げの理由や時期、額などで透明性が十分に確保されていたか◇顧客が値上げを理由に解約できる可能性があったか――などを審理した上で最終判断を下す。
\連邦ネットワーク庁によると、ドイツのガス顧客は1,000万人で、そのうちの6割が特別供給契約を結んでいる。
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