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2013/3/27

ゲシェフトフューラーの豆知識

特別手当の支給額、雇用主が毎年定める契約は妥当=最高裁

この記事の要約

給与とは別に支給する特別手当(Gratifikation)の額を雇用主が毎年、決定する取り決めは手当額の算出基準が不透明で違法ではないか――。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1月に判決(訴訟番号: […]

給与とは別に支給する特別手当(Gratifikation)の額を雇用主が毎年、決定する取り決めは手当額の算出基準が不透明で違法ではないか――。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1月に判決(訴訟番号:10 AZR 26/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは機械メーカーに勤めていた元社員。労働契約書にはクリスマス特別手当の額を雇用主が毎年、定めると記されていた。

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支給額は2001年が月給の55%相当額だった。その後は毎年、額が減少し、05年には08年には393ユーロ(月給の約13%)まで低下。09年と10年は経営状態の悪化を理由に全く支給されなかった。

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原告は12年1月に退職した後、クリス末特別手当の額を雇用主が毎年、定めるとした労働契約の条項は被用者に不利な内容で無効だと主張。同条項の代わりに金属業界の労使が取り決めたクリスマス手当ルールに基づき月給の55%相当額を支給するのが妥当だとして、07~10年の4年間について総額4,847ユーロの支払いを求める訴訟を起こした。

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第1審と第2審は原告の訴えを棄却、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、クリス末特別手当の額を雇用主が毎年、定めるとの契約に違法性はないと言い渡した。

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ただ、そのうえで、支給額は「公正な裁量に基づいて(nach billigem Ermessen)」決定しなければならないとも指摘。原告はこの点に焦点を当てて訴訟を起こすこともできたが、そうしなかったため、BAGは今回の裁判でこの問題を審理しなかったとの見解を示した。

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