キーワードを入力すると関連性の高い語句を自動的に予測表示するグーグルの「オートコンプリート(サジェスト)機能」をめぐる係争で、連邦司法裁判所(最高裁、BGH)は14日、表示が名誉棄損に当たる場合、グーグルは削除する義務があるとの判決を下した。ただ、サジェスト機能自体は違法でなく、サービスを中止する必要はないとした(訴訟番号 VI ZR 269/12)。
\訴えを起こしていたのは、栄養補助食品のネット通販を手がける企業の創業者R.S.さん。R.Sさんは2010年5月、自分のフルネームをグーグルで検索すると「サイエントロジー(米国の新興宗教)」「詐欺」という単語が続けて表示されることを発見した。このため「自分はサイエントロジーと一切関係がないし、詐欺の疑いをかけられたこともない」と憤慨。サジェスト機能によって人格権が侵害され名誉が傷つけられたとして、グーグルに表示の削除と損害賠償を求めていた。
\BGHの裁判官は「グーグルがサジェスト機能のソフトウエアを開発・使用すること自体は全く問題がない」と前置きしたうえで、「ソフトウエアによって自動生成された結果に人格権を侵害する内容が含まれないよう、配慮を怠っていたことは問題だ」と指摘。グーグルは自動生成される全ての結果について、名誉棄損になるような内容が含まれるかどうかを事前に調査する義務はないとしながらも、当事者などからその旨の指摘を受けた場合は速やかに削除する必要があると結論づけた。
\損害賠償に関しては、サジェスト機能によって原告の人格権が侵害されたかどうかについて前審で解明されていないとして、審理をケルン高等裁判所に差し戻した。
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