3月後半に欧州を襲った寒波の影響でドイツが大規模停電の危機に直面していたことが、送電網監督当局(BNetzA)が連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)の議員からなる政治審議会に送付した報告書で明らかになった。特に深刻だったのは3月25~27日の3日間で、風力発電を送電系統から切り離し石炭・ガスによる発電を増やさざるを得なかったほか、隣国(チェコ、ポーランド)に被害が及ばないよう、ぎりぎりのかじ取りを迫られたという。1日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じた。
\同紙によると、3月25日にはバイエルン州北部のレートヴィッツとチューリンゲン州レンプテンドルフを結ぶ高圧送電網、およびドイツとポーランドを結ぶ送電網で供給力が限界に達した。このため当該地域の送電網を運営するTennet、50HertzおよびポーランドのPSEは電力の安定供給を最優先。需要の変化に対応できない風力発電装置を系統から切り離すとともに(供給離脱)、石炭・天然ガスによる発電を増やして需給調整を行った。また、電力不足による停電発生の被害が隣国に及ぶのを防ぐため、50Hertzはポーランドへの電力供給量を合計で1万2,800メガワット時、削減した。
\BNetzAの担当者によると、今年の冬シーズンは厳しい寒波で深刻な危機に陥った昨シーズンに比べて全体としてはしのぎやすい状況で、3月の危機は「例外的状況」だった。BNetzAは近日中に詳細な報告書を公表する。
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