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2013/6/12

総合 - ドイツ経済ニュース

投資対象としてのドイツ評価、欧州1位に

この記事の要約

ドイツが企業の投資先として存在感を高めている。監査法人アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)が国際的に活動する世界の企業808社の経営者を対象に実施したアンケート調査によると、同国は欧州では最も魅力的な投資先と見 […]

ドイツが企業の投資先として存在感を高めている。監査法人アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)が国際的に活動する世界の企業808社の経営者を対象に実施したアンケート調査によると、同国は欧州では最も魅力的な投資先と見なされており、実際の投資件数もトップの英国に迫る勢いだ。中国企業はドイツを欧州進出の橋頭保として利用している。

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「世界で最も魅力ある投資先国を3つ挙げてください」との質問でドイツを挙げた回答は全体の14%に達し、前年から1ポイント増加。インドに次ぐ6位に付け、欧州では昨年に引き続き1位となった。上位5位はBrics4カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国)と米国が占め、7位はポーランド(同10%)、8位は英国とフランス(ともに6%)、10位は日本(5%)だった。

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欧州を対象に昨年実施された外国直接投資(事業拠点の新設ないし雇用の創出が伴ったものが対象で、合併・買収は含まない)の件数は前年比3%減の3,797件となり、過去最高となった前年から3%後退した。債務危機と景気低迷が響いた。

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そうしたなかでドイツは5%増の624件に拡大、過去最高を更新した。欧州トップの英国(3%増の697件)との差は73件で、前年の82件、前々年の168件から着実に狭まっており、近い将来、逆転する可能性もある。3位のフランスは13%減の471件へと大きく落ち込んだ。

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フランス向け投資が減少しているのは、労働市場に柔軟性が欠けるうえ、税制や経済競争力の先行き不安も強いためだ。ドイツはフランスの「失点」から利益を得ているとみられる。

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英国向け投資の件数が多いのは、最大の投資元国である米国からの投資が特に多いため。英語圏であることが強みとなっている。米国からの投資を除いたベースでは424件にとどまり、ドイツの同492件を下回る。

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ドイツへの投資が最も多い国は米国で132件(シェア21%)に上った。これにスイス(シェア15%)、英国(9%)、中国(7%)、日本(6%)が続く。中国企業の対独投資件数(46件)は同国の欧州投資全体の38%を占め、投資先2位の英国(28%)、3位のベルギー(7%)を大きく上回る。

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産業立地条件としてドイツが高い評価を受けた項目は「社会環境」で、「とても魅力がある」と「魅力がある」の合計が88%に達した。「質の高い労働力」(同85%)、「交通・物流インフラ」(84%)、「通信インフラ」(83%)、「政治的・法的枠組みの安定・透明性」(83%)「国内市場」(79%)も評価が高い。一方、「企業の税負担」(40%)と「人件費」(44%)、「労働規制」(48%)はこれまで同様、評価が低かった。

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対独投資を計画する企業の経営者に投資の目的を尋ねた質問では「事業の拡張」が最も多く59%に達した。これに「買収」(24%)、「合弁」(8%)が続く。

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投資計画を業務分野別でみると、「販売・マーケティング」が43%で最も多い。2位は「生産」(21%)、3位は「物流・サプライチェーン」(15%)、4位は「研究開発」(11%)だった。

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