外国企業の対独直接投資は西南部のバーデン・ヴュルテンベルク州に集中している。投資家を受け入れる環境が整っていることが大きなプラス要因となっており、全体の36%を占める(グラフ参照)。コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)の調査を独占入手した『ヴェルト』紙が17日付で報じた。
\2012年の対独直接投資は624件で、前年の597件から5%増加した。バーデン・ヴュルテンベルク州は45%増の224件へと急拡大。2位のノルトライン・ヴェストファーレン州(12%減の136件)との差を大幅に広げた。3位以下はヘッセン州(3%増の68件)、バイエルン州(8%減の44件)、ベルリン州(11%減の34件)、ニーダーザクセン州(63%増の26件)が続く。
\東部ドイツの人気は総じて低く、チューリンゲン州の22件(100%増)が最高だった。ドイツ最大の海の玄関口であるハンブルク州も14件(44%減)と振るわない。
\バーデン・ヴュルテンベルクの人気が高いのはインフラが充実し労働力の質も高いためだ。外国企業の誘致に積極的なことも大きい。
\E&Yが国外投資家を対象に実施したアンケート調査では、同州を投資先として高く評価する回答が18%に達し、1位のバイエルン(25%)に次いで2位に付けた。興味深いのはドイツに投資したことがない投資家では同比率が4%にとどまったのに対し、投資経験のある投資家では26%に達したことだ。バーデン・ヴュルテンベルクはバイエルンやベルリンなどに比べ国外の知名度が低く、ドイツを知らない投資家から過小評価されていることがうかがわれる。E&Yの調査担当者はこれを踏まえ、同州に対する評価は上昇する余地が大きいと指摘する。
\一方、首都ベルリンはドイツへの投資経験のない企業の間で評価が高かった(同比率20%)ものの、経験のある企業の評価は低かった(同8%)。新空港BERの開港が何度も延期されるなどインフラに問題があるほか、企業誘致に消極的なことが影響。特にインフラを重視する製造業が敬遠しているという。
\対独投資件数が昨年、最も大きく増えた国はスイスで、前年比42%増の91件に拡大した。スイスフラン高で輸出競争力が落ちたため、製造拠点をドイツに移す企業が増加。特に隣接するバーデン・ヴュルテンベルク州への投資が目立った。
\投資件数が最も多かったのは米国で132件に上った。米国企業の間でも同州の人気は高いという。
\一方、中国企業の対独投資はノルトライン・ヴェストファーレン州向けがおよそ半分を占めた。スピーカーメーカーChangzhou Hans electronicsは同州に進出し、500人の雇用を創出したという。
\対独直接投資を業界別でみると、最も多かったのは情報技術で、これに化学・製薬、自動車、機械が続いた。今後は環境技術とエネルギー関連企業の進出が増える見通しという。
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