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2013/6/12

ゲシェフトフューラーの豆知識

特別手当の支給条項、文意は明確に

この記事の要約

ドイツには「13回目の給与(13.Gehalt)」という特別手当がある。これは年に12回の月給のほかに支給される、クリスマス手当や有給休暇手当などを指す。この手当をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決 […]

ドイツには「13回目の給与(13.Gehalt)」という特別手当がある。これは年に12回の月給のほかに支給される、クリスマス手当や有給休暇手当などを指す。この手当をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決(訴訟番号:10 AZR 281/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは被告企業の元女子社員。同社員は被告に買収された企業(A社)に1999年4月1日付で採用された。A社との労働契約書には「13回目の給与は有給休暇手当とクリスマス手当に分けて支給され得る企業の任意の給付である」と記されていた。

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被告企業はA社の経営を引き継いだ際、原告と被告の労働契約を全面的に継承することを原告に伝え、13回目の給与はその後、毎年11月に支給していた。

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だが、2010年には支給しなかった。原告は同年末で自主退社することになっていたためだ。不支給に抗議した原告に対し被告企業は、手当は任意のものであり、支給義務はないと回答。原告はこれを不服として提訴した。

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第1審は原告の訴えを棄却したものの、第2審と最終審のBAGは原告勝訴を言い渡した。判決理由でBAGの裁判官は、13回目の給与支給に関する労使契約の文面はあいまいで様々な解釈が可能だと指摘。不通契約約款の文面が多義的であいまいな場合は約款作成者(ここでは被告企業)に不利な解釈が採用されるとした民法典(BGB)305c条2項の規定に基づき、被告は原告に13回目の給与を支給しなければならないと言い渡した。

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