送金内容のチェックで重大なミスをした銀行員を解雇するのは妥当か――。この問題をめぐる係争でヘッセン州労働裁判所が2月に判決(訴訟番号:Az. 9 Sa 1315/12)を下しので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは銀行で送金内容の再検業務を担当する48歳の女性行員。同行の男性職員Aは2012年4月2日、勤務中に一瞬、うたた寝をしてしまい、62.40ユーロの送金依頼を誤って222,222,222.22ユーロ(2億2,222万2,222.22ユーロ)とコンピューターに入力した。原告女性はチェックの際にこの誤りを見落とした。最終的にソフトウエアが誤りを知らせたため、誤送金は回避されたが、雇用主は送金チェックをしていなかったと判断。即時解雇を通告した。
\原告はこれを不当として提訴。1審のフランクフルト労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、2審のヘッセン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告が極めて短時間で大量のチェックをしていた事実(4月2日はチェック時間が1.4秒未満のものが603件、1.5~3秒のものが105件、3秒以上のものが104件)を指摘。これだけの量の仕事をしていれば誤りが生じるのは自然だとの判断を示した。処分は警告が妥当だったとしている。
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