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2013/10/23

ゲシェフトフューラーの豆知識

会社のメールでスト呼びかけ、雇用主は禁止できるか

この記事の要約

会社のメールアカウントを利用して被用者がストライキへの参加を呼びかけることを、雇用主ははたして禁止できるのだろうか――。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が15日に判断を示したので、ここで取り上げてみ […]

会社のメールアカウントを利用して被用者がストライキへの参加を呼びかけることを、雇用主ははたして禁止できるのだろうか――。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が15日に判断を示したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号: 1 ABR 31/12)。

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裁判は従業員数870人の病院が事業所委員長を相手取って起こしたもの。同病院ではイントラネットを業務目的以外で利用することを禁止していた。

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同病院を対象とする警告ストライキをサービス労組のVerdiが2011年4月13日に実施した際、同労組の組合員でもある被告・事業所委員長は、イントラネットでストへの参加を全従業員に呼びかけた。雇用主はこれが事業所体制法(BetrVG)74条2項で事業所委員に義務づけられた争議の際の中立義務に反すると指摘。スト目的でイントラネットを利用することの禁止確認を求めて提訴した。

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原告は1審、2審および最終審のBAGで勝訴した。判決理由でBAGの裁判官は、所有権者は所有権の侵害を許容することを義務づけられている場合を除き、所有権を侵害した者に対し侵害を止めることを要求できるとした民法典1004条の規定を指摘。雇用主はイントラネットを通したスト参加の呼びかけの許容を義務づけられていないとの判断を示した。

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