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2013/12/18

総合 - ドイツ経済ニュース

第3次メルケル政権始動、SPD党首がエネルギー政策権限を掌握

この記事の要約

11月下旬に政権合意した中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)は15日、閣僚名簿をそれぞれ発表した(下の表を参照)。17日には連邦議会(下院)で内閣指名投票が行われ、第3次メ […]

11月下旬に政権合意した中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)は15日、閣僚名簿をそれぞれ発表した(下の表を参照)。17日には連邦議会(下院)で内閣指名投票が行われ、第3次メルケル政権は下院選から3カ月を経てようやく動き出した。

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各党の閣僚ポスト数(政策分野を持たない官房長官を除く)はSPDが6、CDUが5、CSUが3。CDUは議席数が255でSPDの193を大きく上回るものの、対等な立場を強く要求するSPDの顔を立てて大幅に譲歩した。SPDの党内にはCDU/CSUとの連立に反対する声が強く、譲歩しないと連立が成立しない懸念があった。

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SPDのガブリエル党首は経済・エネルギー相(副首相を兼任)に就任し、エネルギー政策の権限を一手に掌握する。第2次メルケル政権では自由民主党(FDP)が獲得した経済相のポストとCDUが獲得した環境相のポストとで権限が交差し、緊急性の高い再生可能エネルギー分野で政策決定が停滞したという事情がある。新政権ではこうした問題を回避できる見通し。

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意外性が最も高かった人事はフォンデアライエン労相の国防相への横滑りだ。女性が防衛政策の統括責任者になるのはドイツで初めてであり、家族相・労相として優れた手腕を発揮した同氏への期待がうかがわれる。

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次期労相にはSPDのナーレス幹事長が就任する。労働行政はSPDにとって最も重要な政策分野の1つであり、労相ポストをSPDが獲得することは以前から予想されていた。フォンデアライエン氏の国防相就任はこれに伴う措置でもある。

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重要ポストではこのほか、第1次メルケル政権で外相を務めたSPDのシュタインマイヤー院内総務が外相に返り咲く。ショイブレ財務相(CDU)は留任する。

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次期政権はクリスマス直前に発足するにもかかわらず、当初からフル稼働で活動する見通しだ。ナーレス新労相は2014年の公的年金保険料率の引き下げを中止するための法改正案を19日にも公表。また、ドイツの再生可能エネルギー助成策が欧州連合(EU)法に抵触しているとして、欧州委員会が18日にも正式審査を開始するとみられるため、ガブリエル新経済・エネルギー相は対応に追われることになる。新政権は欧州委の文書に4週間以内に回答しなければならない。

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