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2014/1/22

経済産業情報

ビブリス原発稼働中止命令は違法=最高裁

この記事の要約

福島原発事故直後に独ヘッセン州当局が州内のビブリスA・B両原発の稼働を3カ月間、停止するよう命じたことは違法として同原発を運営するエネルギー大手のRWEが提訴していた係争で、RWEの勝訴が確定した。同命令を違法としたヘッ […]

福島原発事故直後に独ヘッセン州当局が州内のビブリスA・B両原発の稼働を3カ月間、停止するよう命じたことは違法として同原発を運営するエネルギー大手のRWEが提訴していた係争で、RWEの勝訴が確定した。同命令を違法としたヘッセン行政裁判所の判決を不服としてヘッセン州が行った異議申し立てを最高裁の連邦行政裁判所が破棄したため。RWEは連邦行政裁の決定を受け、同州を相手どって損害賠償請求訴訟を起こす意向を表明した。

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ドイツ政府は福島原発事故が起きた2011年3月、老朽化した国内原発7基の稼働を3カ月間、停止する方針を打ち出し、原発の監督権限を持つ各州に停止命令を要請。同7原発のあるヘッセン、ニーダーザクセン、バーデン・ヴュルテンベルク、バイエルンの4州はこれを受けて稼働の一時停止を命令した。

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RWEはこれを違法として、同社が運営するビブリス原発に稼働停止命令を下したヘッセン州を相手取って行政訴訟を起こしていた。稼働一時停止命令を違法として提訴した原発事業者はRWEのみ。同社は、提訴しないと株主から損賠訴訟を起こされると理由を説明している。

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連邦行政裁はヘッセン州の稼働停止命令を違法とした理由として◇停止命令を下す前にRWEから適切な事情聴取を行わなかった◇ビブリス原発を引き続き稼働させることが危険かどうかを十分に吟味しなかった――ことを挙げた。ヘッセン州はRWEが今後起こす民事訴訟で1億ユーロのケタ台の損賠支払いを命じられる恐れがある。

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ドイツが原発廃止の前倒しを決定したことに対してはRWEとエーオン、バッテンフォールの3社がすでに損賠訴訟を起こしている。請求額は合わせて数十億ユーロに上るもようだ。

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