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2014/2/19

企業情報

Thyssenkrupp AG―ステンレス鋼事業の一部を買い戻し―

この記事の要約

鉄鋼系複合企業の独Thyssenkrupp(エッセン)は12日、フィンランド同業のOutokumpuに売却したステンレス鋼事業の一部を買い戻す計画が欧州連合(EU)の欧州委員会に承認されたと発表した。買い戻しの手続きは今 […]

鉄鋼系複合企業の独Thyssenkrupp(エッセン)は12日、フィンランド同業のOutokumpuに売却したステンレス鋼事業の一部を買い戻す計画が欧州連合(EU)の欧州委員会に承認されたと発表した。買い戻しの手続きは今後数週間で終了する見通し。

Outokumpuは2012年、Thyssenkruppのステンレス鋼部門Inoxumを総額27億ユーロで買収した。買収により年間売上高が40億ユーロから110億ユーロに拡大。欧州最大のステンレス鋼メーカーとなった。

だが、欧州のステンレス業界は過剰な生産能力を抱え、製品価格が低下。各社では赤字経営が続いている。独『ハンデルスブラット(HB)』紙によると、Outokumpuは過大な債務を抱え昨秋、経営破たんの危機に直面したため、Thyssenkruppは一部事業を買い戻す。

具体的にはイタリアの生産会社ASTと同社に属するサービスセンター、および高級鋼材生産会社VDMを再び傘下に収める。その見返りとしてOutokumpuに12年初頭に融資した総額9億ユーロの債権を放棄するほか、Inoxum売却時に取得したOutokumpu株29.9%をOutokumpuに返還する。

HB紙が内部情報として報じたところによると、ThyssenkruppはOutokumpuから買い戻す事業を早急に放出したい考え。ただ、売却損を計上しないためには10億ユーロ以上で転売する必要があるものの、欧州ステンレス鋼市場が低迷する現時点では現実味がない。VDMについては6億ユーロ程度で売却できるものの、工場稼働率が低迷するASTには買い手がつかない見通しという。