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2014/4/2

総合 - ドイツ経済ニュース

公的健保の保険料徴収ルールを変更へ、企業負担比率は変わらず

この記事の要約

ドイツ政府は3月26日の閣議で、公的健康保険財政に関する法案を了承した。収入が不足した公的健保組合が被保険者から一律同額の追加保険料を事後的に徴収する現行制度を廃止。追加保険料の額を各被保険者の所得水準に比例させたうえで […]

ドイツ政府は3月26日の閣議で、公的健康保険財政に関する法案を了承した。収入が不足した公的健保組合が被保険者から一律同額の追加保険料を事後的に徴収する現行制度を廃止。追加保険料の額を各被保険者の所得水準に比例させたうえで、給与から源泉徴収する方式に改める。夏季休会前に法案を連邦議会(下院)で成立させ、来年1月1日付で施行する計画だ。

公的健保では現在、被保険者の給与の15.5%が保険料率として定められている。このうち14.6%は労使が折半、残り0.9%は被用者のみが負担している。保険料は保健基金が徴収したうえで、各健保組合に分配する。分配額は基本的に各健保の被保険者数に応じて決まる。

保健基金からの分配金が支出を上回った健保はその一部を被保険者に還付できる。技術者保険組合(TK)では1人当たり年80ユーロを還付している。

一方、赤字の健保は被保険者から保険料を追加徴収できる。追加保険料は所得の大小にかかわらず一律同額となっている。このため、所得の低い被保険者の負担感は所得の高い被保険者よりも大きい。

追加保険料を徴収する健保は現在ない。低失業率を背景に健保財政が安定しているほか、追加保険料を徴収すると被保険者が他の健保に鞍替えしやすいという事情があるためだ。この結果、財政が厳しい一部の健保は追加保険料を徴収する代わりにコストを極端に削減。被保険者に対するサービス水準の低下につながっている。

政府はこれを問題視し、保険料の新たな徴収ルール案を作成した。同ルールが施行されると、労使が保険料率14.6%を折半するルールは据え置かれるものの、それを超える料率については各健保が自由に設定できるようになる。この追加料率は労使折半部分とともに源泉徴収されるため、健保が被保険者から追加保険料を事後的に直接徴収する現行ルールに比べて、被保険者の抵抗感が少なく、被保険者が他の健保に流出するリスクは低下する。この結果、健保サービスの質が維持されることが期待されている。