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2014/6/11

総合 - ドイツ経済ニュース

生保負担軽減法案を閣議決定、予定利率1.25%に引き下げ

この記事の要約

ドイツ政府は4日の閣議で、生命保険改革法案を了承した。低金利の長期化で生保会社の資金運用が悪化し、顧客に約束した利回り(予定利率=Garantiezins=)の維持が難しくなっていることを受けた措置で、新規契約者の予定利 […]

ドイツ政府は4日の閣議で、生命保険改革法案を了承した。低金利の長期化で生保会社の資金運用が悪化し、顧客に約束した利回り(予定利率=Garantiezins=)の維持が難しくなっていることを受けた措置で、新規契約者の予定利率を引き下げるとともに、既存顧客や保険会社の株主にも負担を求める内容だ。法案は今後、議会の決議を経て遅くとも8月初旬までに施行される見通し。

生保会社は顧客が支払う保険料を市場で運用し、契約終了後に保険金を支払う。安全性の高い国債を主な運用対象としているが、リーマンショック後は歴史的な低金利が続き、各社は運用利回りが予定利率を下回る「逆ざや」のリスクにさらされている。

政府はこうした問題を踏まえ、今回の法案を作成。来年1月以降の新規契約については予定利率を現行の1.75%から1.25%に引き下げることを盛り込んだ。

既存契約者も影響を受ける。法案では運用資産の含み益(Bewertungsreserven)を契約満了ないし中途解約時に支給するルールを変更。これまでは同含み益の50%を例外なくこれらの顧客に支給しなければならなかったが、法案施行後は、他の被保険者向けの予定利率が維持できない恐れがある場合、含み益を支給できなくなる。

予定利回りが維持できない場合は、株主への配当支払いも禁止される。また、被保険者の死亡率見通しを高めに設定することで生じる利益(Risikogewinnen)に顧客が与る度合い(比率)の下限(Mindestbeteiligungssatz)を従来の75%から90%に引き上げることで、株主配当に回る同利益の規模を縮小する。法案にはこのほか、保険外交員に支払う販売手数料の引き下げも盛り込まれている。