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2014/6/18

企業情報

BMW―中国合弁、初のEVを市場投入―

この記事の要約

BMWが中国・華晨中国汽車(Brilliance)と共同で立ち上げた電気自動車(EV)ブランド「之諾(Zinoro)」の初のモデル「Zinoro 1E」が近日中に市場投入される。同車はBMWの「X1」をベースに開発された […]

BMWが中国・華晨中国汽車(Brilliance)と共同で立ち上げた電気自動車(EV)ブランド「之諾(Zinoro)」の初のモデル「Zinoro 1E」が近日中に市場投入される。同車はBMWの「X1」をベースに開発されたもので、航続距離は約150キロメートル。当面はリース・レンタルでの提供に限定し、販売はしない。14日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じた。

中国では深刻な大気汚染や交通渋滞の対策として、北京、天津など一部の大都市で新車の登録制限を実施。北京市を例にとると、ガソリン・ディーゼル車の今年の新車登録台数は13万台(抽選)に制限されている。登録希望は1~5月だけで200万台を超えており、中国に多くの自動車を輸出する独自動車メーカーにとって大きな痛手だ。

一方、中国政府はEV、ハイブリッドカーなど低公害車の購入を奨励しており、EVの場合は1台につき国から約7,000ユーロの補助金が出るほか、各地域の政府からも購入支援が受けられる。北京市では低公害車の今年の登録数を2万台に制限しているが、これまでの申請件数は4,800件にとどまっており、登録はほぼ確実に可能だ。

FAZ紙によると、Zirono 1Eのリース料金は、3年間のリースの場合で月約850ユーロ(3年で3万600ユーロ)、1日レンタルの場合で46.4ユーロほど。之諾の広報担当者は、残価を除いた金額をレンタル料として払うことで値ごろ感を打ち出し、独高級ブランドに対する中国独自ブランドの分の悪さをカバーするとしている。独自動車業界誌『Automobil Produktion』によると、Zirono 1Eの価格は4万8,000ユーロという。

BMWは今秋にはBMWブランドのEV「i3」を中国で発売する計画だ。価格は4万ユーロと高いものの、政府の購入支援のほか◇新車登録制限に引っかかる可能性がほぼない◇Zinoro IEと異なり購入が可能◇「メイド・イン・ジャーマニーのハイテク製品」のブランド力――を追い風に、販売を伸ばせると期待を寄せる。