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2014/6/18

経済産業情報

高級車メーカーが新コンセプトで顧客掘り起こし

この記事の要約

独高級車メーカーが「出会い」「体感」「ブランド発信」といったこれまでにないコンセプトのショールームで、新たな顧客層の掘り起しに力を入れている。アウディはクルマを買う前に様々な技術でバーチャルな乗車体験ができる「アウディ・ […]

独高級車メーカーが「出会い」「体感」「ブランド発信」といったこれまでにないコンセプトのショールームで、新たな顧客層の掘り起しに力を入れている。アウディはクルマを買う前に様々な技術でバーチャルな乗車体験ができる「アウディ・シティ」をロンドン、北京に続きベルリンに開設。メルセデスベンツは期間限定の情報発信拠点「メルセデス・ミー」のドイツ1号店を5日、ハンブルクにオープンした。BMWも同様のコンセプトによるショールームを計画中という。10日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

インターネットで新車を購入するユーザーが増えるなど、自動車販売環境は大きく変化しており、郊外にある従来型のディーラーだけでは顧客層を十分に掘り起こせなくなっている。企業コンサルティング大手マッキンゼーの関係者は「一昔前なら、新車を探すドライバーは購入前に平均でディーラー5店を回っていた。しかし、今では1店を訪れるだけとなっている」と指摘する。

こうした事情を背景にディーラーは、イベントやコミュニティなど、店頭でしか得られない体験を通したマーケティングに注力するようになっている。

アウディ・シティでは実車の展示を最低限に抑える一方で、バーチャルで実車のイメージが把握できる「コンフィギュレーター」に力を入れている。店内ではスタッフが顧客の好みのボディカラーやインテリア、オプションなどを聞きながら、専用アプリ搭載のタブレットPC上でバーチャルモデルを作成。モデルはショールーム内の大型スクリーンに実物大で映し出され、顧客は実際の大きさでイメージを確認できる。

ダイムラーのメルセデス・ミーは、同社が今年3月のジュネーブモーターショーで発表した同名の包括的顧客サービスのパイロット店。「ショー」「スペース」「フード」「ミュージック」の4つのキーワードを軸に、クルマ以外の部分でメルセデスブランドを気軽に体感できるコンセプトとなっている。