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2014/6/25

経済産業情報

引火懸念のカーエアコン冷媒、VWが採用か

この記事の要約

欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)が、引火の危険が指摘されているカーエアコン冷媒「R1234yf」の採用を検討しているもようだ。これまでは同冷媒の代わりに二酸化炭素(CO2)冷媒を投入する考えを示してきたが、 […]

欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)が、引火の危険が指摘されているカーエアコン冷媒「R1234yf」の採用を検討しているもようだ。これまでは同冷媒の代わりに二酸化炭素(CO2)冷媒を投入する考えを示してきたが、方針を転換。R1234yfを大量発注する可能性を排除しないという。社内情報として週刊誌『シュピーゲル』が19日付オンライン版で報じた。

欧州連合(EU)では温暖化防止策の一環として、これまでカーエアコン用冷媒として使われてきた代替フロン(R134aなど)に代わり、地球温暖化係数(GWP)150以下の冷媒を使用することが2017年1月から全面的に義務づけられる。この基準を満たすのは現在、米ハネウェルとデュポンが開発したR1234yfに限られている。

R1234yfをめぐっては引火性があるとして独ダイムラーが採用しない方針を2012年に打ち出した。シュピーゲル誌によると、独自動車工業会(VDA)のテスト(結果は非公開)でも同様の結果が出ており、独メーカー、サプライヤーはCO2冷媒のカーエアコン開発に向けて共同で取り組んでいる。

VWはメディアの問い合わせに対し、CO2冷媒の投入方針に変更はないとしつつも、「EU法の規定によりこれまで使われてきた冷媒R134aは17年から投入できなくなる」と指摘。そのうえで、EU指令が改正されない限り、CO2冷媒への直接的な移行は不可能だとの立場を示した。

CO2冷媒を投入するためには、カーエアコンの設計を大幅に変更しなければならない。これに対しR1234yfは設計変更が小幅で済むというメリットがある。