欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2014/8/27

企業情報

バイエル―時価総額が11年前の10倍以上に―

この記事の要約

製薬・化学大手の独バイエル(レバークーゼン)が好調だ。けん引車となっているのは製薬部門。経営不振に陥った2003年以降に行った一連の選択が奏功しているようだ。経済紙『ハンデルスブラット』が21日付で報じた。 バイエルの時 […]

製薬・化学大手の独バイエル(レバークーゼン)が好調だ。けん引車となっているのは製薬部門。経営不振に陥った2003年以降に行った一連の選択が奏功しているようだ。経済紙『ハンデルスブラット』が21日付で報じた。

バイエルの時価総額は03年3月、75億ユーロまで落ち込んだ。当時は化学市場が低迷していたうえ、同社は降圧剤「リポバイ」の副作用問題を受けて米国で巨大な集団訴訟に直面していた。現在は時価総額が820億ユーロに拡大し、電機大手のシーメンスとドイツ1位の座を争っている。

バイエルは経営再建に向けて03年に汎用化学部門(現ランクセス)の分社化を決定した。またアベンティスの農業科学部門とロシュの一般医薬品(OTC薬)事業を買収。06年には製薬大手シェリングを傘下に収めた。

コスト削減で研究開発費の圧縮を余儀なくされたことに対しては、事業リスクが計算できる分野に経営資源を絞り込んだ。この時に手元に残し開発を続行した血栓治療薬「イグザレルト」は、その後、販売許可が下り、同社最大の医薬品に成長した。

2010年に就任したデッカース現社長は危機の時代に打ち出された経営路線を継承する一方で、研究開発を販売の成功につなげることで大きな成果を上げている。