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2014/9/3

総合 - ドイツ経済ニュース

州議選で反ユーロ政党AfDが躍進

この記事の要約

ドイツ東部のザクセン州で8月31日、州議会選挙が実施された。同州の最大与党であるキリスト教民主同盟(CDU)は前回(2009年)並みの得票率を獲得したものの、少数与党の自由民主党(FDP)は全議席を喪失。04年から2期連 […]

ドイツ東部のザクセン州で8月31日、州議会選挙が実施された。同州の最大与党であるキリスト教民主同盟(CDU)は前回(2009年)並みの得票率を獲得したものの、少数与党の自由民主党(FDP)は全議席を喪失。04年から2期連続で議会進出を果たした極右政党のドイツ国家民主党(NPD)も議席を獲得できなかった。最大の勝者はユーロ批判の新政党「ドイツのための選択肢(AfD)」で、いきなり9.7%を獲得した。同党が州議会に進出するのは今回が初めてだ。

AfDは昨年2月に結成されたばかりだが、昨秋の連邦議会(下院)選挙では準備期間が短かったにもかかわらず、ギリシャやスペインなどの財政悪化国への支援に不安を抱く有権者の支持を取り付けて4.7%を獲得。存在感を示した。今年5月の欧州議会選挙では7%を獲得し、議会進出を果たしている。

同党は既存の中道右派政党に満足できなくなった有権者と現状不満派の支持を獲得した。そのしわ寄せを最も強く受けたのは全国的に人気が低落しているFDP(中道右派)で、得票率は前回の10.0%から3.8%に低下。議席獲得に必要な5%を大きく割り込んだ。現状不満派の受け皿となりやすいNPD、左翼党(第2位政党)からもAfDに票が流出している。

中道右派のCDUは39.4%を獲得し、ダントツ1位の地位を維持した。同党もAfDに票を食われたものの、大政党であるため影響は小さい。中道左派で同州3位の社会民主党(SPD)は前回の10.4%から12.4%に伸ばした。

新議会の総議席数は126。各党の配分はCDUが59、左翼党が27、SPDが18、AfDが14、緑の党が8で、新政権はCDUの主導で樹立される。CDUはどの政党と連立を組んでも、過半数(64議席以上)を獲得できるものの、左翼党とAfDは連立対象とならないため、選択肢はSPDと緑の党の2党に絞られる。CDUは全国レベルでSPDと連立しており、ザクセン州で両党が政権を打ち立てると、国政を運営しやすくなるメリットがある。

州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)の議席数は現在69。国政レベルの与党であるCDU、キリスト教社会同盟(CSU)、SPDが全面的に政権を握る州の議席数は現在、そのうち27にとどまるが、ザクセン州でCDUとSPDの連立政権が樹立されると、31に拡大する。ドイツでは今月14日にテューリンゲン、ブランデンブルク州でも州議選が実施されることから、両州議選の結果次第では、国政与党3党が連邦参議院で保持する議席が過半数に達する可能性がある。

緑の党は州議選で得票率が低下したことから、「有権者から政権樹立を委託されなかった」(州支部長)との結論を引き出した。CDUとの政権協議の可能性を排除していないものの、野党にとどまりたいとしており、ザクセン州の政権はCDUとSPDが樹立することになりそうだ。