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2014/9/3

ゲシェフトフューラーの豆知識

永年勤続報奨金で最高裁判決

この記事の要約

勤続期間が永年勤続報奨金の受給条件をわずかに下回る場合、被用者は報奨金を受給できないのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決(訴訟番号:10 AZR 635/13)を下したので、ここ […]

勤続期間が永年勤続報奨金の受給条件をわずかに下回る場合、被用者は報奨金を受給できないのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決(訴訟番号:10 AZR 635/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は教会に社会教育者として雇われていた年金受給者が教会を相手取って起こしたもの。労使協定では勤続40周年を迎えた被用者に報奨金1,000ユーロが支給される決まりとなっていた。

原告は1972年3月1日付で勤務を開始し、2012年2月29日付で退職した。退職後に永年勤続報奨金の支給を求めたところ、原告の勤続40周年は12年3月1日だとして拒否されたため、提訴した。

1、2審は原告敗訴を言い渡したものの、最終審のBAGは逆転勝訴判決を下した。判決理由で裁判官は、原告が勤続40周年の1日前に退職したのは確かだが、永年勤続報奨金の意義と狙いは被用者が長年勤務することで示した雇用主への忠誠に対する報いにあると指摘。この趣旨に基づくと原告には報奨金を受給する権利があるとの判断を示した。