鉄鋼大手の独ティッセンクルップ(エッセン)は9日、経営不振の伊ステンレス鋼子会社アッチャイ・スペチャーリ・テルニ(AST)で一時的に凍結していた人員削減計画を再開すると発表した。凍結期間中に進めてきた労使交渉がまとまらなかったため。
ティッセンクルップは7月、ASTの経営再建に向けてコストを年1億ユーロ以上圧縮する計画を発表し、これを実現するために従業員2,600人のうち550人を削減する方針を打ち出した。
これに対し従業員のほか、イタリア政府から批判が出たため同社は9月上旬、人員削減計画を10月初旬まで棚上げにする意向を表明。従業員代表と協議を進めてきた。今後は労働・社会省の監督を受けながら従業員の整理を進めていく。
ティッセンクルップは2012年、ステンレス鋼事業をフィンランドのステンレス鋼大手オウトクンプに売却した。その際、ASTもオウトクンプに譲渡したものの、オウトクンプの要請を受けて売却した事業の一部を今年2月に買い戻し、ASTを再び子会社化した。
ティッセンクルップはステンレス鋼事業を将来的に放出する考えだ。