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2014/10/8

ゲシェフトフューラーの豆知識

男性パイロットの制帽着用義務は不当か

この記事の要約

企業は従業員代表の事業所委員会(Betriebsrat)との合意に基づき従業員に制服着用を義務づけることができる。これは事業所体制法(BetrVG)に基づくルールである。では、男性と女性とで制服規定に違いを設けることは法 […]

企業は従業員代表の事業所委員会(Betriebsrat)との合意に基づき従業員に制服着用を義務づけることができる。これは事業所体制法(BetrVG)に基づくルールである。では、男性と女性とで制服規定に違いを設けることは法的に許されるのだろうか。それとも不当な差別に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が9月30日に判決(訴訟番号:1 AZR 1083/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はルフトハンザの男性パイロットが同社を相手取って起こしたもの。ルフトハンザのパイロットは他の航空会社同様、男女とも制服着用が義務づけられているが、制帽に関しては男性のみが義務づけられ、女性は任意となっていた。原告はこれを不当な差別として、男性についても着用を任意化するよう求め提訴した。

これに対しルフトハンザは、◇制帽の着用は典型的なパイロットの外見である◇女性パイロットについては髪型を考慮しなければならない――と反論。男女の義務の差別化は妥当だとの立場を示した。

原告は2審で敗訴したものの、最終審のBAGは逆転勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、男性と女性とで制服を区別するためには妥当な根拠がなければならないとしたうえで、ルフトハンザのパイロットは同一の制服を着用することで同社を代表していることを外部に対し明確に示していると指摘。この目的に即すると、男性と女性とで制服規定を区別するのは妥当でなく、事業所体制法上の平等原則に反するとの判断を示した。同社の制服規定が男女差別に当たるかどうかについては判断を示さなかった。