北アフリカと中東にメガソーラーなどを設置し、電力を欧州に輸送するデザーテック計画の実行機関DIIは14日、今後は事業を会員企業向けのサービスに絞り込むことを明らかにした。これにより送電プロジェクトのとん挫が確定したことになる。会員企業のほとんどは同計画の見通しが悪いことを受けてすでに脱会している。
デザーテックは2009年に立ち上げられたプロジェクトで、中東・北アフリカから欧州への送電量を2050年までに600テラワットとすることを目指していた。
だが、2010年から12年にかけて起きた「アラブの春」でこれら地域の政治的・経済的な見通しが悪化したほか、欧州で再生可能エネルギー電力が急速に普及したことで、プロジェクトを推進する意義が低下。コストが割に合わない懸念も膨らんだため、シーメンス、ボッシュ、エーオン、ドイツ銀行などの会員企業が次々と脱会した。現在の会員は独RWE(エネルギー)、サウジアラビアのACWAパワー(同)、中国国家電網(送電)の3社に過ぎない。