コンサルティング大手のベイン・アンド・カンパニーは20日、ドイツの銀行業界が大きな変動に見舞われるとの見方を明らかにした。競争激化と低金利、規制強化が圧力となり、コストを最大30%圧縮しなければならなくなるためで、国内の店舗数は今後10年で、現在の3万1,000カ所から3分の1減の2万カ所に減少。雇用規模は63万人から2割減って50万5,000人になるとしている。
過去5年間の雇用規模の減少幅は2万8,000人だった。これは金融危機の影響が大きかったスペインの6万1,000人、英国の7万人を大幅に下回っている。英西両国の銀行は大幅な人員削減の効果で収益力が高まっており、収益力の低いドイツの銀行も人材整理が避けられないという。
収益力の強化に向けてはオンライン・モバイルバンキングの強化が必要だとしている。また、投資銀行のグローバルプレーヤーとして勝ち残るのは世界の一握りの銀行に限られると指摘。さらに、プライベートバンキングで利益を確保するには管理資産が100億ユーロ以上でなければならないとみている。
今後は事業モデルの絞り込みが必要で、市場プレイヤーはグローバルなユニバーサル銀行、地方銀行、特殊分野に的を絞った銀行の3種類に集約されるという。また、イーベイのネット決済サービス子会社ペイパルのような外部からの市場参入者が勢力を一段と強めていくとみている。