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2014/10/29

総合 - ドイツ経済ニュース

企業の投資マインドが悪化、「来年はGDP成長率0.8%に」=DIHK

この記事の要約

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は27日発表した秋季景気レポートで、2014年の国内総生産(GDP)成長率を従来予測の実質2.0%から1.3%へと大幅に引き下げた。地政学リスクやユーロ圏の経済回復が滞っていることが響い […]

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は27日発表した秋季景気レポートで、2014年の国内総生産(GDP)成長率を従来予測の実質2.0%から1.3%へと大幅に引き下げた。地政学リスクやユーロ圏の経済回復が滞っていることが響いているためで、来年については成長率が0.8%に落ち込むとしている。これはIfoなどの有力経済研究所が今月上旬に発表した共同作成の秋季経済予測で提示された15年の予想成長率1.2%を大きく下回る。政府が打ち出す社会福祉の拡充路線に対する不安感が中小企業を中心に強まっていることもあり、企業の投資マインドは一段と冷え込んでいる。

DIHKは毎年、年初と初夏、秋の3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を実施しており、今回は2万7,000社強から有効回答を得た。

それによると、「今後1年間の輸出額が増える」と回答した企業(メーカーのみ)は30%となり、前回調査(初夏)の34%から4ポイント低下。「減る」が9%から15%へと6ポイント増加したことから、「増える」と「減る」の差は25ポイントから15ポイントへと大幅に縮小した。ウクライナ紛争に伴うロシア事業の急速な悪化、中東情勢の緊迫、西アフリカでのエボラ出血熱流行、ユーロ圏の大国であるフランス、イタリアの経済低迷が影響。特に中間財と投資財メーカーで輸出見通しが大きく悪化した。これら輸出のマイナス要因をユーロ安は相殺できていない。

今後1年間の事業見通しを「良い」とする回答(メーカー以外も含む)も前回の29%から21%に低下。「悪い」は11%から15%に増加した。特に製造、流通、建設分野の企業で悪化が目立っている。最大のリスク要因として「外需」を挙げる企業は前回の36%から47%へと大きく増えた。このほか「内需」(同48%)、「経済政策」(43%)も回答が多い。一方、「エネルギー・原料価格」は44%から38%に低下、「為替レート」も14%から11%に下がった。

経済の先行き不透明感を背景に企業の投資意欲は低下しており、投資額を「増やす」は前回の27%から25%に減少した。「減らす」(17%)との差は前回の11ポイントから8ポイントに縮小している。特に製造、建設、流通業で落ち込みが目立った。投資目的では「製品の技術革新」との回答が28%から30%に増加したのに対し、「生産能力の拡張」は27%から26%に低下している。

事業の現状を「良い」とする回答は40%に上った。前回を2ポイント下回ったものの高水準を保っている。ただ、製造業では「良い」と「悪い」の差が前回の35ポイントから28ポイントへと大きく縮小。流通業でも27ポイントから18ポイントに狭まった。