化学大手の独BASF(ルートヴィヒスハーフェン)は10月30日、リチウムイオン電池用正極材の合弁会社を戸田工業と共同で日本に設立することで基本合意したと発表した。同正極材のグローバル事業を強化するとともに製品ポートフォリオを拡充。また、バッテリー製造・開発の先進国である日本市場での活動を拡大し、バッテリー材料事業のシナジー効果を引き出す考えだ。
新会社「「BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社」を東京に設立し、来年2月から事業を開始する。出資比率はBASFが66%、戸田工業が34%で、それぞれの正極材(CAM)ビジネス、知的財産権、日本における製造設備・拠点などを持ち寄る。
同合弁では車載用、民生用、定置用のリチウムイオン電池に使用されるNCA(ニッケル系正極材)、LMO(マンガン系正極材)、NCM(三元系正極材)といった正極材料の研究開発、製造、マーケティング、販売に取り組む。
製造拠点は山口県山陽小野田市と福岡県北九州市に確保する。正極材と前駆体の生産能力は年およそ1万8,000トン。社員数は約80人を予定する。
戸田工業は「正極材事業を発展させていくには、1+1を3にし得るパートナーとの提携が必要」と判断してBASFとの提携に踏み切った。同提携により事業のグローバル化やコスト削減を図る意向だ。