従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は企業内の様々な案件を雇用主と共同で決定する権利を持つ。これは事業所体制法(BetrVG)87条に記されたルールである。では、雇用主が業績連動型の一時金を固定額の一時金に変更する場合も、事業所委の同意が必要となるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1月に決定(訴訟番号:1 ABR 57/12)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は職員数1,100人の大手民間病院を相手取って事業所委員会が起こしたもの。同病院では職員の約90%が利益に連動して一時金を受給する労使契約を結んでいた。だが、2004年以降は利益を計上していなかったため、経営サイドは10年、業績連動の一時金を一律3,000ユーロの一時金に改めることを被用者に提案。大半の被用者はこれを受け入れたものの、事業所委は同委と協議を行わずに変更を行うことは共同決定権の侵害に当たるとして提訴した。
原告・事業所委は1、2審で勝訴。最終審のBAGも下級審の判断を支持した。決定理由で裁判官は、事業所の賃金、特に報酬に関する基本原則と新しい報酬支給方法の導入および適用、ならびにこれらの変更は共同決定権の対象であるとするBetrVG87条1項10の規定を指摘。被告・病院が行った変更はこれに該当するとの判断を示した。