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2014/11/19

経済産業情報

「インダストリー4.0」に黄信号、IoTの米標準化団体が急成長

この記事の要約

モノのインターネット(IoT)の実現に向けて米企業が中心となって設立した標準化団体「産業インターネット・コンソーシアム(IIC)への危機感がドイツの製造業界から出ている。IICに加盟する企業が急速に増えているためで、独製 […]

モノのインターネット(IoT)の実現に向けて米企業が中心となって設立した標準化団体「産業インターネット・コンソーシアム(IIC)への危機感がドイツの製造業界から出ている。IICに加盟する企業が急速に増えているためで、独製造業の競争力強化に向けた官民プロジェクト「インダストリー4.0」が世界の動きから取り残される懸念もある。14日付『ハンデルスブラット(HB)』紙が独自取材に基づいて報じた。

インダストリー4.0は製品開発、製造、物流、顧客関係のネットワーク化を情報通信技術(ICT)の活用を通して推進する国家的なプロジェクトで、独機械・設備産業の競争力を一段と高め経済力を向上させる狙いがある。2011年のハノーバー国際産業見本市で提唱され、12年に立ち上げられた。

一方、IICはIoT(情報・通信機器だけでなく、幅広いモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信すること)の実現に向けて今春、設立された団体。ドイツでは当初、インダストリー4.0に対する「米国の出遅れた反応」として問題視されず、産業技術の分野でドイツの脅威になるとは考えられていなかった。

だが、加盟企業数はすでに90を突破。そのなかには日立や富士フイルムといった日系企業や中国の華為技術など外資も数多く含まれる。加盟申請中の企業も数百社に上る。

ドイツ企業の加盟は現在、ボッシュ1社に限られている。標準規格をめぐる競争では多数派の企業に支持されるものが優位に立つため、インダストリー4.0は世界から取り残される恐れがある。また、IICの方がネット化の対象とする産業・製品の幅がインダストリー4.0よりも広いことも気になる所だ。

HB紙によると、IICのリチャード・マーク・ソーレイ会長は現在、会員企業の獲得に向けて世界を飛び回っている。