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2015/1/7

経済産業情報

人工透析器の反ダンピング調査を中国が中止

この記事の要約

中国商務省は12月17日、日本と欧州連合(EU)の人工透析器メーカーを対象に行っていた反ダンピング調査を中止したと発表した。調査を要請した重慶山外山科技有限公司(SWS)が申請を撤回したため。SWSの社長などは9月に産業 […]

中国商務省は12月17日、日本と欧州連合(EU)の人工透析器メーカーを対象に行っていた反ダンピング調査を中止したと発表した。調査を要請した重慶山外山科技有限公司(SWS)が申請を撤回したため。SWSの社長などは9月に産業スパイ容疑でドイツで現行犯逮捕されており、これが申請撤回につながったもようだ。

商務省は6月に反ダンピング調査を開始した。世界最大手の独フレゼニウス・メディカル・ケア(FMC)、独ビー・ブラウン、スウェーデンのガンブロ、日機装、ニプロが捜査の対象となっていた。

『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、SWSはFMCと独ビー・ブラウンが製造原価をそれぞれ61.41%下回る価格で中国販売を行っていたと批判していた。

SWSの社長を含む3人はダンピングの証拠をつかむためにドイツを訪問。9月中旬にタクシーを使ってバート・ホームブルクにあるFMCの本社と、メルズンゲンにあるビー・ブラウンの本社を偵察。FMC本社には入れなかったものの、ビー・ブラウン本社への潜入には成功し、関係者以外の立ち入りが禁止された場所で写真を撮影した。これに気づいた警備員が警察に通報し、3人は現行犯逮捕された。

裁判ではダンピングの証拠集めのほか、情報収集が目的だったことを白状。3人は10月初旬に保釈金をそれぞれ1万ユーロ支払い、中国に帰国した。

ダンピングの容疑をかけられた企業は、SWSの主張について当初から根拠がないと思っていたという。