独ワイン販売大手のハヴェスコ・ホールディング(ハンブルク)は19日、アレクサンダー・マルガリトフ社長が6月末付で退任するとともに、保有する全株式(30%)を大株主である投資会社トコス・ベタイリグンクに譲渡すると発表した。トスコはハヴェスコに敵対的な買収を仕かけていた経緯があり、マルガリトフ社長は抵抗をあきらめた格好だ。
トコスはハヴェスコ株を1株当たり40ユーロで取得する株式公開買い付け(TOB)計画を11月に発表した。筆頭株主となることが狙いで、過半数資本の確保をTOBの成立条件としていなかった。昨年中に出資比率を従来の29.5%から33.7%に拡大して筆頭株主に浮上。今月初旬にはハヴェスコのベルント・ジープドラート取締役(卸売担当)からも株式を買い取り、約34.5%へと引き上げた。
マルガリトフ社長は敵対的買収に対抗するため「白馬の騎士」となる投資家を模索したが失敗。トスコへの抵抗を断念した。
ハヴェスコはフランクフルト市場(SDAX)に上場する企業で、「ジャックス・ヴァインデポー」ブランドの実店舗を280カ所で展開。レストランへの納入と通販も行っている。2013年の売上高は4億6,520万ユーロで、最終利益1,620万ユーロを計上した。
トスコはハヴェスコの◇事業国際化を促進する◇利益率を引き上げる◇配当性向(当期利益のうち配当に回る金額の割合)を引き下げる――ためにTOBを実施した。今後はオーストリア、スイス、ベネルクス諸国、デンマーク、スウェーデン市場での事業拡大資金を確保するため、配当性向をこれまでの65~95%から40~50%に引き下げる意向だ。